風鈴華山 | daren さん作 |
凄まじいスピードで飛んでくる苛烈な連撃を、俺は右手に握った日本刀で受け止め、弾き返した。 この辺りのレベルとしては高めの<ジェイソンリーダー>だが、俺の『黒炎丸』にチェーンソーが勝てるはずがないっての。 とは言っても、俺のHPは3割ほど削られている。 やはりPTでの戦闘に慣れてしまったため、ソロに少し違和感があるようだ。 俺の刀に弾かれたジェイソンリーダーのチェーンソーは、そのまま俺の頭の上から振り落とされる。 体を反らしてかわし、無防備な相手の胴を刀で切り裂く。 ジェイソンリーダーのHPが減少していく。しかし、たぶんこれだけでは倒せない。 刀を左手で押さえ、そのまま先ほどできた傷口に再び刀が肉をえぐる。まあ、こいつに肉があるのならば。 ジェイソンリーダーのHPゲージは減少速度を早め、あっけなく消滅していった。 刃こぼれするはずがないのに、それをたしかめて鞘に入れる。 チン、と軽快な効果音がなる。いつ聴いてもいい響きだ。 しかし、この程度の敵にこれだけ時間を使ってしまうとは。 「・・・腕がなまったなぁ、俺も。」 そうだ。こんな雑魚に時間を食ってる訳にはいかねぇんだ。 さっさとこの狂ったゲームを終わりにして、茅場の奴をぶっ飛ばさなくちゃいけねぇんだ。 ・・そう、約束したんだ。アイツと・・・ 「クーラーイーンーさーんがはぁっ!!」 転移門から飛びついてきた少年を、ひょいと体を反らしてよける。 飛びついてきた少年は、そのまま地面に激突した。 「・・・痛いですよぉ・・・受け止めてくださいって」 「モンスターよりも速い攻撃は受け止められないって」 「モンスターですか!?私」 「さしずめ〈ラグー・ラビット〉ってトコだろぉな」 「あぁ、あの肉は旨いらしいですよね。一度食べてみたいなぁ・・・」 「・・・いいのか?それで。」 我が〈風林火山〉のエースがこんなバカでいいのかと、俺は心底思った。 「お前の肉を切り取ればいいじゃねえか?」 「あ、そうですね。・・・だめです。たぶん、<テイルの肉>はクエストで発生するアイテムだと思います」 ・・・こいつ、ホントは小学生なんじゃねぇか?あまりにバカだ。 しかし、1年も同じギルドにいるとずいぶんと慣れてくる。 「他の奴らはどうしたんだよ、テイル?」 先ほどからギルドメッセージを飛ばしているのだが、まったく返事が来ない。 「あぁ、なんでもアルゲートのどこかの店で『大食い王決定戦!これが食えたら100万コル!』ってのをやってるらしくて」 「で?」 「そこの予選にウチから8人でたんですが、食べ過ぎて動けないそうです。」 「後の2人は?」 「そこで決勝戦見てます。」 ・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ バカというのは伝染するらしい。気をつけよう。 「じゃぁ結局行くのは俺とお前だけなのかよ?」 あははははは、と軽快な、でも今の俺には騒音以外の何物でもない声が響きわたる。 「そうらしいですよ。あははははは」 「うるせぇよ!!・・・ったく、なんでこんな大切な日にそんな物に出るんだよ・・・」 奴らに対する幾通りもの呪い文句をはきながら、転移門に入ろうとする。 あ、一つ忘れてた。 「おい、テイル。こいつ使っとけ。」 腰に実体化させておいたポーションをテイルに放り投げる。 こいつを使う所には行くつもりはないが、念のため、だ。 またうちのギルドから犠牲者を出すわけにはいかねぇからな。 あ、キャッチしそこねた。地面にカラン、と音が響く。 テイルの腰にポーションが入ったを確認すると、今度こそ転移門に飛び込んだ。 「転移!ラーベルグ!」 第16層の主街区ラーベルグの時間は、今日も穏やかに流れていた。 序盤の方では中々人が集まっていた街だったが、攻略が進むにつれてどんどん上層部に移っていった。 何人かの職人はこの街を好み、移動しようとしなかったがアルゲートの街開きの時、その職人達も移っていってしまった。 今ではNPCが歩くだけの、静かな街に戻ってしまった。 それでも、時々この街を懐かしみ、帰ってくる者達がいる。 それが俺たちだ。 中央に流れる小さな川で二等分された小さな街の、主街区の端。 お世辞にも広いとは言えないが、中はログハウス調の作りになってなかなか良い雰囲気を醸し出す店。 それ故に、相場よりかなり高い値段の店。 そこが俺たちの目的地だ。 ここがギルド<風林火山>を結成した場所。 すべてが始まった場所。 そしてアイツとの――――――クリスとの、出会いの場所。 「ただいま、クリス。」 おかえり、という声が聞こえた気がした―――。 ○後書き○ ん〜、ベタベタな文章になってしまいました^^; このあと続くかなぁ・・・ クラインの性格が上手くかけないorz あの人は書きづらいですよ。 てか俺の文章力がないだけか(自己解決 じゃ、とりあえず小ネタ〜 ジェイソンリーダー…いや、なんとなくね。いてもいいんじゃないかと。 ドロップアイテムはマスクとチェーンソーかも(ぇ テイル…意味としては「尻尾」です。バカです。ガキです。 あ、べつにソ○ックのキャラとは何の関係もありませんよ? 書くとき、すこしイメージしたけど(ぇー 『大食い王決定戦!これが食えたら100万コル!』…べつに某番組とは関係ありません。ありませんよ!? ラーベルグ…ここの地名、最後まで「ラーベルグ」か「ラベルーグ」にしようか迷ったんですよ。 どっちでもいいような気がしますけど(汗 クリス…某大物女優クリス・ヴィンヤード氏とは縁も所縁もありません。よ? てか途中まで「シシ」でした。男だか女だかわからないのでやめました。 続きは現在鋭意制作中!ってことで、どすか? |