英雄の不在2 〜黒の聖女〜 | カラス さん作 |
ズガンッ 世界がスローで流れていく しかし私の体は動かない 紅い牙が私を飲み込もうとしたその瞬間、それは起きた <<ミーティア>> 突如現れた白い光が紅い牙にぶつかり、その軌道を曲げる 速い・・・・・・今まで私が見たどんなソードアートよりもそれは速かった 私の頭に一つの単語が思い浮かぶ・・・閃光・・・ そう呼ばれる少女がいた いまもそう呼ぶ者はいるが、それよりも有名な二つ名がある ソードアートオンライン IF 英雄の不在2 〜黒の聖女〜 「また貴方ですか・・・紅剣」 「ずいぶんなご挨拶じゃねぇか、黒の聖女様よぉ」 「その名で呼ぶのはやめなさい・・・私は聖女なんかじゃない」 「ふん、どう呼ぼうと俺の勝手だろうが・・・で、何の用だい?」 「言うまでもないでしょう、これ以上の狼藉、許すわけには参りません」 「おいおいおい、先に仕掛けてきたのはその嬢ちゃんのほうだぜぃ」 「オレンジである以上、それは覚悟の上でしょう」 「ならオレンジに仕掛けるほうにも同じ覚悟がいるんじゃねぇのかい?」 「どちらにせよこれ以上貴方を放置しておくわけにもいきません、覚悟なさい」 「ちっ・・・ここでアンタと事を起こす気はねぇんでね、ここらで引かせてもらうぜ」 「逃がすと思いますか?」 「そっちこそわかってんのかい? ここで俺とやりあうってことがどういうことか」 「どういう意味です」 「泥沼にしかなんねぇってことだよ・・・俺のしぶとさは知ってんだろうがよ」 「くっ」 「じゃあな、お嬢さん方」 男はそう言うと転移結晶を懐から取り出す取り出す ―転移 ナールセグ― キュイーン 「待ちなさいっ! く・・・また取り逃がしましたか」 唖然とする私の目の前で男は消え、聖女と呼ばれた少女と私のみが取り残される 彼女の名は『アスナ』おそらくはこの世界・・・アインクラッド・・・で2番目に有名なプレイヤーだろう いや、あの男は既にプレイヤーではないのだったか・・・そんなどうでもいいことが私の頭をよぎるのだった 〜続く〜 |